あらすじ
昭和の炎は国を呑み、人をも呑み込んだ。
帝国陸軍の一角に、奇妙な男がいた。
階級は小佐。だが、彼の心は軍刀よりも実験器具に近く、銃後の技術研究に命を懸けていた。
戦場にあってなお、彼は兵を生かす策を探り続けた。
しかし歴史は、そんな異端を赦さなかった。
戦火の終焉と共に、彼の命も散ったはずだった――。
次に目を開けた時、彼は戦乱の世にあった。
南国の薩摩。大隅の山々を背にした一族の館。
名を問われ、彼は答える。
「島津義久――」
帝国の少佐は、戦国の大名として再び歩みを始める。
科学を知る知恵、戦術を読み解く眼。
それはやがて、九州を越え、本州を揺るがす力と化す。
歴史を塗り替える覇道の物語が、今始まる。