あらすじ
この世界には、特殊な能力を持って生まれてくる者がいる。自身の体から花を生み出すことができる『花生み(はなうみ)』と、その花生みが生み出した花を食す『花食み(はなはみ)』だ。両者は互いの性質上、相互依存の関係となっている。
このように、花生みと花食みはお互いに大切な存在である。特に花生みと花食みが恋人、または夫婦となる『ブートニエール』の関係に至った場合、特別な絆で結ばれるとされている。花生みと花食みは「運命」にも似た、不思議な関係で結ばれているのだ。
少年のノアは花生みとしてこの世に生を受けた。彼が痛みを伴い流した涙は、世界一美しい花と呼ばれているベゴニアへと姿を変える。そのベゴニアから取れた種はどんな土地にも根を張り、草木が育たない大地に緑をもたらすことができた。
『クルゼフ王国』は雨が降らず、もう何年も食糧難に陥っている。ノアは両親と平和に暮らしていたが、ある日ノアの花生みとしての能力を欲した国王イヴァンが、ノアの両親を殺害し、ノアを城へ連れ去ろうとする。しかし、ノアは何者かに助けられ難を逃れることができた。
月日は流れ、ノアは再びイヴァンと再会することとなる。今もなお、食糧難が続いてるクルゼフ王国のために城へと渋々出向くこととなった。しかし、再会したイヴァンはノアの両親を殺めたイヴァンとは別人のように優しかった。ノアに素晴らしい箱庭を与えてくれ、慈しんでくれる。「其方を大切にしたい。ブートニエールになってくれ」と迫るイヴァン。両親を殺めたイヴァンと、今目の前にいる優しいイヴァン――。どちらが本当のイヴァンかがわからないノア。両親への復讐と、自分を大切にしてくれるイヴァンの狭間で戸惑いつつも、少しずつイヴァンに惹かれていく。
ある日、ノアは城内にある教会のソフィア司祭とイヴァンがタッピングしているところを目撃してしまい、強いショックを受ける。そんなノアを慰めてくれたのは騎士団長であるアッシュ。そんな二人の姿を見たイヴァンが誤解してしまい、ノアを箱庭に閉じ込めてしまう。それかきっかけで、ノアは再びイヴァンへ不信感を抱いてしまうのだった。
イヴァンが戦争にいっている最中、ソフィアにたぶらかされたノアは、イヴァンを信じることができなくなり、花生みの禁断の能力でイヴァンを殺害しようとしてしまう。イヴァンは薄れゆく意識の中、自分には双子の兄イヴァンがいて、ノアの両親を殺害したのは兄のイヴァンであること。自分は第二王子のユリアスであることを伝える。しかし、イヴァンがノアの住む村を襲撃したとき、その場にいたにも関わらずノアを助けることができなかった自分は、イヴァンを名乗り、ノアに恨まれながらも、罪滅ぼしをしたかったことを伝える。
真実を知ったノアは、ユリアスからのプロポーズを承諾し、二人はブートニエールとなった。幸福感に満たされたノア達の周りにはたくさんの蝶が飛び交い、蝶が飛んだ荒れ地は美しい花畑へと姿を変えたのだった。