あらすじ
冬崎荒也は友人であり、民俗学者の辻原千鳥の足役兼助手として雇われている身だった。ある十二月下旬のこと、彼は千鳥の実地調査を手伝うために赤口村へとやってきた。千鳥の調査目的は赤口村と疱瘡神と呼ばれる神との関係であった。彼等はその日のうちに村の神社に赴き、神社の一人娘である巫女・朱里夏海と出会うが、宮司が不在のため、詳しい話は聞けず、後日出直すこととした。
その日の晩、荒也は三匹の犬を連れた緋色の着物を着た女と出会った。彼女は緋崎彩梅と名乗り、自身は巫女であると言い、今は疱瘡神を迎えるための神事の予行演習をしていたという。巫女という事は朱里家の人間かと問うたが、どうにもそうではないようだった。
後日村の神社に話を聞きに行くも、宮司である拓郎は、赤口村では疱瘡神を迎える様な儀式は行っていないと言われ荒也は疑念を抱く。
千鳥は村の郷土資料館や町の図書館などを回り、赤口村と疱瘡神の関係を調べる中、彼はかつて赤口村で行われていた神事に関する記録と、緋崎垣内なる地名を発見する。そんな中、荒也は緋崎彩梅の妹である雪香という幼い少女と出会う。
後日、千鳥と荒也は緋崎垣内へと足を踏み入れた。そこで待ち構えていたのは緋崎姉妹であった。彼女等は緋崎神社に仕える巫女の末裔であった。そして、彼等はかつてこの地で起きた凄惨な事件について知ることとなった。
そして大晦日の晩のこと、千鳥は夏海の協力の下、この村で今尚続く、生贄の儀の事を知ることとなった。
二人は緋崎姉妹を救うべく、朱里夏海と緋崎神社の唯一の氏子である滝本老人の助力を得て、生贄の儀に乱入し、生贄とならんとする緋崎彩梅を救出し、赤口村を後のした。
参考文献 國學院大學学術情報リポジトリ 疱瘡習俗の研究
(同) 正月の疱瘡神祭祀
柳田國夫 垣内の話
長野市 長野市誌 四巻
中津川市 中津川市誌 中巻1
摂陽群談