あらすじ
なぜ増え続ける?死後離婚
黒い喪服の糸がほつれるように
妻の心もほどけていく。
線香の煙は天へ昇り
残された人間の縁は
地に重く沈む。
「嫁であること」と
「生きていくこと」
その二つの鎖を解くために
一枚の紙が差し出される。
姻族関係終了届――
それは別れではなく
暮らしを守るための宣言。
相続は消えず
年金は残る。
けれど義の名で課された
墓守や介護の影は
静かに消えていく。
樹木葬の森に
新しい風が吹き
「自分の終い方」を
誰もが選び始める。
死んだあとも続く縛りから
生きるために離れる。
――だから今日もまた、
役所の窓口でスタンプの音が
未来を切り拓く音として
静かに響いている。
「生きるための離婚がある」