あらすじ
名家の子女である星名(せな)と兄貴分の晴親(はるちか)、頭脳明晰な閑就(しずなり)は幼い頃からの幼馴染。
どこへ行く時も何をするにも一緒で、ずっとそのままだと思っていた。
けれど、子供のままではいられなかった。
晴親は恋をした。星名はそれを知った。閑就はそれを見ていた。
「3人の幼馴染」ではなく「普通」の「友達」になる夏が来た。
思ったよりも簡単に背中を押すことができた。星名にとって2人は特別な存在だ。命の恩人と言っても良い。世界で1番幸せでいてほしい。
それでもこの想いは恋ではなかったから、兄貴分の手を離して、心から笑うことができた。
こうして人は変わっていくのだろう。
飛行機雲を追いかけていた兄貴分はもういない。
幼い頃に教えてもらった星雲は、遠すぎて見ることは叶わない。
いつか自分は1人で飛行機雲を見つめて、夜空に星雲を探すのだろう。
それでも、それに耐えうる自分を作ったのはいつか自分とは違う道をいく2人なのだ。
かつて自分の手を取って走ってくれた晴親と、怪我をして泣いた自分を抱き上げて物語を話してくれた閑就なのだ。
17歳の夏だった。
孤独の予感に星名は泣いた。
けれど、星名は知っている。
いつかの夏。たとえ1人だとしても。
自分は笑っているだろう。
飛行機雲も星雲も、2人の優しい「友達」も。
いつだって星名を最後には笑わせてくれたのだから。