あらすじ
無実の罪で婚約破棄され、辺境へ追放される公爵令嬢ユリアナ。
彼女は涙をこらえ、健気に、そして潔くその理不尽な運命を受け入れた。
辺境の地で持ち前の優しさと知識を活かし、やがて素敵なヒーローと結ばれる――。
――だが、その甘いお伽話を、隣の邸から冷ややかに見つめる男がいた。
彼の名はアルフレッド・フォン・クラウゼヴィッツ公爵。「氷の宰相」の異名を持つ、冷徹な現実主義者。
彼にとって、ユリアナの『潔さ』は国益を損なう愚行であり、彼女の『人徳』は国境の防衛線を脅かすリスクでしかなかった。
「辺境での人徳チート? 裏で経済を回しているのは俺の資本だ」
「ヒーローとの運命の出会い? 俺が仕組んだ政略だ」
「愛の力で奇跡の勝利? それを演出したのは、俺の非情な知略なんだが?」
これは、甘い物語の主人公(ヒロイン)の幸運(ご都合主義)を、一人の男が国益のために裏で全て仕込み、管理し、そして完璧なハッピーエンドへと導く(・・・・・・)物語。
彼女の見る「奇跡」は、本当に彼女自身の力で掴み取ったものなのか?
これは、お伽話の“本当の作者”の、誰にも知られることのない戦いの記録である。