あらすじ
忘れ物を拾い上げる手、傘を差し出すタイミング、深夜の一行メモ、月に一度の切符。
この連作は、派手な告白よりも“生活の手触り”で進む恋を描きます。ツンと強がる凛、遠距離を抱きしめる茜、ためらいながら運命を信じる紗季――語り手が変われば、愛の形も変わる。
コミュ障で自己肯定感の低い彼、仕事に誇りを持つ彼、距離と時間に阻まれる彼。彼らに向けて、彼女たちは「大丈夫にしておいた」と小さな手順を重ね、嫉妬や寂しさや沈黙もふたりの道具にしていく。
大声の「好き」より、台所の湯気や付箋一枚、指先の敬礼が物語る短編連作。読み終えるたび、誰かを少しだけやさしくしたくなるはず。