あらすじ
あらすじ*幕末、豊後の国(大分)竹田岡城の支城である騎牟礼城の物見櫓の水瓶の中に生まれたままの赤ん坊が泣き声を上げていた。女中頭のお福が見つけ抱きかかえて物見番の甚助の元に駆け込んで来た。騎牟礼城は平安時代の末期、豊後を征圧した源為朝によって築かれていたが、突然現れた赤ん坊(るい姫)は為朝の縁者ではないか?との疑心暗鬼が渦巻く中で、藩士となった甚助は動乱の中を一生をかけて姫を守りぬく事を決意する。アメリカの東インド艦隊ペリー提督が四隻の黒船を率いて浦賀沖に到着し、徳川幕府に開国を求めた年、その圧倒的な脅威の前に諸国大名もなす術が無く、豊後の小藩に分立した城は互いに結んでは離れ、小競り合いを続けていたが、各藩は幕閣として残るか新しい世の尊王攘夷を受け入れ、無策な幕府に対峙して行くかの選択を迫られていた。甚助夫婦はるい姫の育ての親として、里帰りをする途中で臼杵藩にるい姫をさらわれる。幼いるい姫はいつの間にか歴史上最強の伝説の武将である鎮西八郎為朝の申し子であると云う噂が豊後一帯に広まっていて、武士の世が城主制度と共に衰退していく中、各城主は、鎮西八郎由縁のるい姫を迎えることで、最後の城主としての誇りを取り戻そうとしていた。甚助たちは姫を奪い返したが、又もや武装した別の城の集団に連れ去られる。甚助は守役としての責務を果たせず切腹を試みるが、部下に阻まれ命を長らえる。鎮西八郎の血はるい姫によって引き継がれ、更に幕末から一四〇年後の現代の鎮西瑠衣にまで繋がっていて、幕末の武闘派として生きるるい姫と、現代の学生で生命学を専攻するアスリートの瑠衣は、時空を超えて交信するが、学生の瑠衣は幕末の十二才だった少女(るい姫)が家来のタエを助ける為、南蛮船の中で不貞を働く二人の大男の首を懐剣で刺し通した事を聞き、恐怖を覚え、るい姫との血の繋がりを怖がる。ワイルドなるい姫は現代の女の過剰な化粧方法や家族よりも個人主義に走る風潮を怪訝そうに見るが、逆に現代の食生活や冷たいスイーツなどに万感の興味を示し、自然環境のターニングポイントの意味を知り一四〇年後の気候の変動に驚き失望し、二人の時代感覚の差は中々埋まらない。幕政は西郷隆盛の出現で終焉を迎え、やがて明治政府になり、幾つもの城を渡り歩いたるい姫は一八才となり、武士の世の虚しさを捨て、家来の甚助と共に海運業と農場経営に乗り出す。西洋の近代化を見据えていた城主の次男坊、春高と夫婦となったるい姫は一女をもうけた事で、次第に現代の瑠衣との交信に心が通い始める。しかし、鎮西八郎が豊後を征圧した時、滅ぼされた新羅一族の怨念は、るい姫に向かうと共に、現代まで続いていて、半グレで凄腕のバレーコーチの新羅長次という男に、左利きのアタッカーとして花開こうとしている瑠衣に奇妙な罠が仕掛けられようとしていた。