あらすじ
雨が降りしきる国、アクア・リアギス。
魔力が“色”として視えるこの国で、十九歳のユリカは魔力を持たぬ娘として教会の片隅で暮らしていた。
幼馴染であり、憧れの神官ルアルクは今や“直系”として人々に慕われる存在。
決して結ばれてはならないと知りながらも、心は彼を求めてしまう。
――その想いが、やがて新しい命という形をもたらした。
だが、魔力を持たぬ娘が直系の子を宿すことは、あまりに危うい出来事。
本人たちにとっては「許されぬ奇跡」であり、同時に教会の目に触れれば“狙われる存在”となりかねなかった。
追いつめられたユリカに手を差し伸べたのは、国家治安を担う青年シェイ。
彼は母子を守るために「契約結婚」を提案する。
それは形式だけの婚姻でありながら、不器用な優しさに満ちた約束だった。
雨音に揺れる不安、差し出される温もり、子の小さな笑顔。
守られるだけの娘だったユリカは、やがて母として、そして一人の女性として、自分の道を選び取っていく。
契約から始まる親子と恋のファンタジー。
優しい嘘と真実が交わる時、彼女が選ぶ答えとは――。