あらすじ
『白いカーペットの施設』
【1. 記憶の奥の風景】
大学を卒業したばかりの「直人」は、久しぶりに実家へ帰省していた。
母が昔のアルバムを出してきて、「これ、小さいころあんたが迷子になった時の写真よ」と言いながら、色褪せた1枚の写真を見せてきた。
そこには、白くて無機質な廊下が写っていた。天井の蛍光灯が等間隔に並び、カーペットは真っ白。壁も白で、まるで病院のような空間だ。だが、何かが違う。人の気配が一切感じられないのだ。
直人はその空間を「どこかで見たことがある」と思った。しかし、思い出せない。ただ、その空間を見た瞬間、胃の奥がひゅっと冷たくなった。
「これ、どこで撮った写真?」