あらすじ
高校二年生。一学期の試験前、東京から転校生がやってきた。
クラスメートの前で挨拶を終え、席へと座る彼。しかし、私にはハッキリともう一人、転校生がいるように見えた。それも、彼と瓜二つのそっくりさん。だが、そっくりさんの紹介はないまま、朝礼は終わってしまう。
教室から出て行ったそっくりさんを追いかけて声をかけると、彼は訳のわからないことを言った。
「君、僕のことが見えるの?」
どうやら彼は、並行世界で死んだ転校生の幽霊らしい。死んだ後も成仏できずに、何度も何度も世界を渡り歩いているそうだ。
誰からも、『この世界』の彼自身からさえも視認されない彼。そんな彼をなぜか見ることのできる私。
「ドッペルゲンガー」と冗談交じりに自分のことを表現する彼は、キラキラと輝かせた瞳を私へ向ける。
「僕が成仏するのを手伝ってはくれないかい?」
成仏させてあげようにも、彼は生前の記憶がないらしい。
そんな中で彼が口にした、他の世界とは違う『この世界』だけの差分。
「他の世界では、君はいなかったんだよ」
それはどういうことなのか。
八方塞がりの中で唯一見つけたヒントはそれだけ。
そこから紐解く、彼と私の成仏案件。