あらすじ
吹奏楽部でサックスを吹く高校二年生・柳田生斗には、ひそかに想いを寄せていた先輩がいた。
勉強も運動もほどほどにできて、家では入院中の母に代わって弟や妹の面倒を見ながら日々を過ごす。
そんな平凡で不器用な毎日を支えてくれていたのは、幼馴染の小原日向。
けれどある日耳にした噂――憧れていた先輩に彼氏ができた、という報せが生斗の胸を深く突き刺す。
真相を確かめた末に失恋を知った彼は、やり場のない思いを抱えたまま文化祭の準備に追われていた。
そんなとき、ふと目に入ったのは演劇部の練習風景。
ステージの上で仲間と台本を読み合わせていたのは、日向の友人・小宮羊。
どこか嘘くさい笑顔を浮かべている彼女に、生斗は「苦手だ」と感じる。
――だが同時に、舞台に向かう真剣な瞳が、なぜか胸に残って離れなかった。
こうして、生斗と羊の物語が静かに動き出していく。