あらすじ
自分の価値に自信が持てない。 だからこそせめて恋人には、誰に見せても恥ずかしくない人を__。
真白優菜(ゆうな)は自分への劣等感からそんな貪欲な理想を追い求めていた。そんな彼女のそばにいたのは、真っ直ぐで優しすぎる恋人の佐久間優斗。だけれど彼女の目に映るのは、彼女の理想全てを持つ一ノ瀬水稀(みずき)ただ1人だけだった。
手に入れたい理想と埋められない心の穴。
そんなささやかな"ないものねだり"から始まった数時間の電話は、いつしか裏切りや優しさの狭間で形を変えていく。 いくつもの感情が重なり、すれ違い、そしてほどけて誰かの傷となっていく。
何も知らないからこそ、 そこに何もかも求めてしまったその果てに。 誰かの愛を求められず、誰かの優しさに寄りかかりきれず、 それでも何かにすがりたかった――。
"人間って不思議だよね。傷跡の形にぴったり合う鍵穴しか、もう開けられなくなるー"
回って、戻って、また同じ場所へ。 それでもどこかが少しずつ、 変わっていっている気がしてしまう。
__これは、降りられなかった観覧車の中で紡がれた、静かで残酷な恋の物語。