あらすじ
亡き祖母が残したレシピ帳が家族を再生へ導く物語
「祖母のレシピ帳」
古びたノートの隙間から
小豆の香りが立ちのぼる
祖母の文字は揺れていて
けれど愛だけは揺るがない
「2025年、孫娘の初恋のお赤飯」
「2030年、息子の昇進のちらし寿司」
そこに書かれた未来は
まだ訪れていないのに
もう誰もの心を温めていた
忘れてしまう病に侵されても
祖母は記憶の代わりに
未来を残していった
台所に響く包丁の音
湯気に重なる家族の声
食卓に灯るあかりの中で
失われた絆がひとつずつ戻ってゆく
料理は祈り
味は言葉
そして食卓は約束
亡き祖母の手のひらが
いまも私たちを抱きしめている