あらすじ
婚約破棄された――
その瞬間、王都の社交界は嘲笑とざわめきに包まれた。
「悪役令嬢エレナは断罪されたのだ」と。
だが、当の本人は少しも泣いていなかった。
むしろ、肩の荷が下りたように深呼吸をして、
荷馬車一台に荷物を積み、王都をあとにする。
行き着いたのは、
地図にも載らないほど小さな田舎の村。
朝は畑を耕し、昼は紅茶をいれて本を読み、
夕方は村の子どもたちに礼儀作法を教える。
夜になれば、ちょっとした魔獣退治で一汗流す。
「悪役令嬢? いいえ、私はただの村人ですわ」
皮肉にも、王都での称号よりも
村人としての生活のほうが、よほど幸福だった。
そんな折、王子が後悔と共に村を訪れ、
隣国の使節が彼女の知恵を求め、
騎士団の若者が「先生」と慕ってくる――。
田舎暮らしは、想像以上に賑やかで、
そして波乱に満ちていた。
悪役令嬢と呼ばれた少女の、
新しい人生がここから始まる。