あらすじ

暴動と飢饉に揺れる王都。即位したばかりの若王ユリウスは十七歳、周囲から「子供の王」と侮られ、議会でも孤立していた。そんなとき呼び出されたのは、翡翠宮で研鑽を積んだ青年官僚シン、二十四歳。冷静沈着な律文術士である彼は、初登庁で改竄された帳簿を一瞬にして暴き、王と廷臣たちを驚かせる。光を帯びた文字が嘘を炙り出すその姿に、ユリウスは思わず「美しい」と呟き、ただの文官ではないと強く惹かれていく。 やがて二人きりの執務室で、ユリウスは「俺の味方になってくれ」と切実に頼む。主従の距離を超える視線にシンは緊張するが、忠誠を誓うほかに術はなかった。しかし宮廷は彼の存在を快く思わず、「田舎上がりの文官など不要」と糾弾。ユリウスは皆の前で「彼がいなければ王をやめてもいい」とまで言い切り、シンの胸に強く響く。 そこへ宗教勢力が「王は偽王だ」と流言を広め、龍脈儀式の失敗が囁かれる。王権を守るために必要なのは――“番契約”。ユリウスは「形式でもいい、俺と契約を」とシンに告げる。ためらいながらも承諾した儀式で、二人が手を重ね署名すると、光が宮廷を包み龍脈が安定した。触れ合った掌から溢れる熱に、二人は戸惑いながらも互いを意識せずにいられない。 だが契約は噂となり、「若王が男官僚を寵愛している」と宮廷に広まる。シンを庇おうとするノア、冗談めかして挑発する近衛隊長レオン――周囲の視線も交錯し、ユリウスは露骨に嫉妬を見せる。夜、再び二人きりで同調儀式を行えば、光は強く輝き、荒い呼吸と近づく顔が理性を揺るがした。「もっと側にいてほしい」と囁く王に、シンは心を乱される。 理性と衝動の狭間で揺れる二人。年齢差、主従の壁を理由に距離を取ろうとするシンを、ユリウスは「関係ない」と強く引き寄せる。そしてついに公の場で――「彼を摂政とする。俺にとって唯一の側近だ」と宣言した。廷臣たちが動揺する中、ユリウスの言葉は形式上の契約を超え、揺るぎない絆の始まりとなる。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2025/09/24
  • 現在の作品龍脈に試されし摂政は、若き王の愛に囚われる