あらすじ
『基地が見えた』
その安堵の声が聞こえた次の瞬間、警告音とともにレーダーから機影が消える。
管制官・白百合は、今日も誰かの最後の声を聞いていた。
エースパイロットの主人公と彼女を繋ぐのは、無線越しの声だけ。
新型機のテスト飛行で雲海を抜け、規則を破って夜間飛行で星空を分かち合い、二人は職務を超えた特別な絆を育んでいく。
しかし、戦争が二人の時間を引き裂く。
史上最大規模の渓谷侵攻作戦の前夜、死の予感に駆られた白百合は彼の部屋を訪れ、矛盾に満ちた告白をする。
「本当は、あなたに空を飛んでほしくない」
作戦当日、48機の部隊は敵の罠にはまり壊滅。
だが、主人公は単独で作戦続行を決断する。
白百合は涙を呑んで命じた。
「必ず生きて帰りなさい」
その声に導かれ、満身創痍で任務を完遂した主人公を待っていたのは、着陸脚の出ない機体での絶望的な帰還だった。
「私が必ず受け止める」
管制室の制止を振り切り、白百合は再びマイクを握る。
愛する人を生かすため、声だけを頼りとした前代未聞の胴体着陸が始まる。
管制官でありながら空を飛ぶことを拒んでいた彼女は、今、誰よりも強く彼の帰還を導く『声』となる。