あらすじ
16歳の高校生、佐藤イズミの人生は美しくも混沌としていた。
母を亡くして半年、彼女の世界はアルコールとギャンブルに溺れた父の影に支配されていた。勉強と日々の生活費を稼ぐため、懸命なアルバイトに明け暮れる日々。そんな彼女の唯一の救いは、貴族や華やかな社交界、そしてロイヤルなドラマが描かれた大好きなファンタジー小説に没頭することだった。
しかしある夜、彼女の現実世界は完全に崩壊する。
「金をよこせ!」
金をせがむ父に階段から突き落とされ、イズミの視界は漆黒に染まった。
次に目が覚めた時、彼女は病院のベッドではなく、広大で豪華な庭園にいた。困惑する彼女に、一人のメイドが冷たい眼差しで制服姿を蔑みながら、見知らぬ名で呼びかける。「アリッサ様」と。
そこで全てを悟る。ここは、彼女が愛した小説の世界。しかし、ヒロインでもなければ、モブでもない。自身の身体ごと転移してしまった彼女が、なぜか悪役令嬢であるアリッサ・シンクレアと瓜二つだという事実に直面する。
悪役令嬢は忽然と姿を消し、その代わりとして全ての世界の視線が自分に向けられる中、イズミは一つの問いを胸に抱く。
「一体、本当の悪役令嬢はどこに?そして、なぜ私は彼女と瓜二つなの?」