あらすじ
【富士見ノベル大賞用あらすじ ネタバレ注意】
幼い頃、雅輝は両親に連れられて妹らと祓い魔師の屋敷へ出向いた。
雅輝はあやかしに好かれやすい体質を持っており、夜は出歩くなときつく言い含められていたものの、結果的に迷子になり悪妖に出会ってしまう。
そんな時助けてくれたのは美しい九尾の狐で、腰の刀で祓うと『お嫁さんにしてね』と言い残していった。
時は過ぎ、雅輝は軍人になった。
本来ならば家業を継いでいるはずだが、六年前に妹の一人である楓をあやかしに連れ去られてしまう。
この手で屠るまでは、という思いで仕事をこなしながら陽梅館の門扉を叩いていたある日。
ある九尾狐の男と人間の女と出会い、男は雅輝の体質を研究したいと言う。
理由を付けて家へ帰るも楓の居場所を摑んだのは事実で、早急に右腕であり腐れ縁の祓い魔師・隆政に報告する。
人間の女の名を聞いて、意味深な言葉を残したものの雅輝はそれほど気に止めなかった。
数日後、楓の居場所を探しつつ帝都の巡察も兼ねていた時、人間の女が九尾の狐に変化する所に出会う。
幼い時に出会ったきりの初恋相手──華蓮かと思ったが、声を掛ける前にどこかへ消えてしまった。
日が経ち、雅輝は単身吉原へ向かう。
陽梅館で出会った九尾狐に『楓はここにいる』と教えられたからだ。
するとほどなくして件の男──常葉に呼び止められ、あれよあれよという間に営んでいる薬屋へ脚を向けさせられる。
そこで出会ったのは隣りに居た人間の女で、名を玲華と言った。
常葉は楓を攫ったあやかしと因縁があり、雅輝と利害が一致する為近付いたという。
半信半疑だったものの、玲華は変化が出来る為きっと役に立つ、という常葉を信じて吉原へ向かった。
果たして楓と多少だが話す事が出来て、本音を聞けた。
帰り道、玲華に『何故力になってくれるのか』と聞けば思わせぶりな態度を取る玲華に釈然としないものの、一旦は納得する。
それから二日後、行方をくらませていた部下の一人が辞表を出した。
居場所は分かる為隆政と共に陽梅館へ行き、その日は丁度集会があったようで、異様な雰囲気に呑まれる。
無事に部下を見つけたが人だけでなくあやかしが多く、体質もあって何度も意識を手放しかけた。
その度に隆政が勇気付けてくれたが限界も近かった時、常葉の背後から夢にまで見た九尾狐──華蓮が現れる。
常葉と陽梅館の主は腐れ縁で、同時に楓を攫ったあやかしだと確信した。
それでも雅輝は全てを常葉に任せ、自分は部下と一対一で話し合う。
部下はそのあやかしに心酔していたものの、本音では雅輝の傍に居たいという。
思いを汲み取り、やがて常葉の決定により陽梅館は解体された。
その場に居たあやかしの一部は軍の預かりとなり、全てが落ち着いた頃華蓮と話す場が出来た。
同時に玲華という秘密を知って、しかし出会った時から一途に雅輝を想っていたらしく、気持ちを通わせて口付け合った。
季節は春になろうとしてる頃で、桜が咲いた日にはまた二人で見に行こうと密かに思う。
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それは明治三十八年、冬の事だった。
藤堂雅輝(とうどう まさき)が幼い頃、人ならざるモノ──あやかしに襲われかけたのは。
そんな雅輝を助けてくれたのは、白銀の九尾が美しい妖狐。
「わたしをお嫁さんにしてね」
辺りから微かに血の臭いがする中、白狐から囁かれたその言葉は十年以上経った今でも尚、雅輝の心の奥深くに刻み込まれている。
しかし、その出会いから十年後の大正四年。
雅輝が学校から帰ると両親は何者かに殺され、五つ下の妹は失踪してしまった。
時は流れて大正十一年、春。
雅輝は軍人となり、お国のためにと形ながらの思想を掲げて日々を生きていた。
古来より人とあやかしの共存する日本。
その帝都・東京で、ひょんな出来事から幼少期に出会った妖狐と再会を果たす。
──これが運命の幕開けとなることを、誰が予感しただろうか。