あらすじ
人々が「忘れたい記憶」を雲が吸い上げ、やがて雨として散らしていく――そんな仕組みが当たり前に存在する世界。
高校生・蒼井透は、幼いころからその不思議に違和感を抱いていた。
ある日、空を覆う巨大な黒雲が、いつまでも雨を降らせずに居座る。やがて雲は破裂し、地上に降り注いだのは水ではなく「他人の記憶の断片」だった。触れた人々は他人の苦痛や恥辱を体験し、街は混乱に陥る。
唯一その記憶を吸収できる体質を持つ透は、人々を救うために自ら進んで雨を浴び続ける。だが、吸収すればするほど自分の存在は薄れ、やがて彼は気づく――降り注いでいるのは、ひとりの人物の記憶にすぎないということに。
過去の真実と自分の運命に直面したとき、透が下す選択とは……。