あらすじ
黄龍帝国(こうりゅうていこく)第三皇女、李 玲蘭(リ・レイラン)。
母の身分が低く、生まれつき病弱な彼女は、権力争いに咲き乱れる後宮の片隅で「書庫の姫」と揶揄され、誰からも忘れられた存在だった。
だが、彼女には誰にも言えない秘密があった。
――それは、平和な日本で古今東西の軍事史を愛した【歴女】だった前世の記憶。
ある日、北方の最強騎馬民族・蒼狼国(そうろうこく)が、圧倒的な武力で帝国への侵攻を開始。
歴戦の将軍たちは次々と討ち死にし、帝国は滅亡の危機に瀕する。
朝廷が絶望と混乱に陥る中、後宮に届く断片的な情報から、玲蘭は帝国軍の敗因が、歴史上何度も繰り返されてきた「愚かな戦術」そのものであることを見抜いてしまう。
「このままでは、国が、皆が死んでしまう――」
父である皇帝に謁見することすら叶わない、無力な一人の皇女。
しかし、彼女にはこの世界の誰も持たない【知識】という最強の武器があった。
玲蘭は顔も名前も隠したまま、前世の記憶を頼りに、敵の弱点である「兵站」を断つという、この世界では誰も思いつかなかった画期的な作戦を書き上げる。
その密やかなる献策は、実直さだけが取り柄の若き武将・趙 子龍(チョウ・シリュウ)の手に渡り、戦局を覆す奇跡の勝利をもたらす。
やがて戦場に囁かれ始める「顔の無い天才軍師」の噂。
それは、後宮の書庫から、たった一人で帝国を動かす病弱な姫君のことだった。
これは、後宮の熾烈な情報戦を潜り抜け、戦場の天才と知略の応酬を繰り広げ、その知識と勇気で帝国を救う、一人の忘れられた皇女の物語。
――彼女が本当の自分を解放し、歴史に名を刻む、その日まで。