あらすじ
東京都立総合医療センター、深夜の精神科薬局。
当直薬剤師・朝倉礼司には、他の誰にも見えない存在が見えていた。
ミオ——人間の心に溜まる「澱」を食べる、不思議な存在。
白磁の肌、銀の髪、透明な瞳。
少し透けた身体で、薬品棚の上に座っている。
澱とは、人の負の感情が沈殿したもの。
悲しみ、怒り、絶望、嫉妬。
それらを食べることで、患者の心は少し軽くなる。
しかし、食べた澱はミオ自身を蝕んでいく。
そこで必要なのが、礼司による「浄化」。
向かい合って座り、
礼司の手から金色の光を注ぎ込む。
それは痛みと快楽の狭間にある、名前のつけられない感覚。
「どこから来たの?」
「分からない。気がついたら、存在していた」
孤独な存在と、孤独な薬剤師。
二人の距離は、浄化を重ねるごとに近づいていく。
そしてある日、ミオが限界を超えて澱を食べてしまった時——
礼司は決断する。