あらすじ
略奪婚 ― 幸せになれるはずだったのに……
花嫁衣裳は白くても
心は黒い影を纏っていた。
欲望に導かれた指先が
他人の未来を奪い取る。
「愛してる」――その言葉は甘く、
けれど舌の奥には毒が潜む。
拍手の鳴り響く披露宴も、
実は寂しさの鐘の音だった。
約束を裏切り、信頼を踏みにじり、
選んだのは「勝ち取った愛」ではなく
「奪った幻影」。
笑顔の奥に、不安が棲みつく。
時は流れ、やがて知る。
幸せは奪っても根づかない。
蒔いた種は、必ず自分の足元に芽を出す。
それは花ではなく――
棘ばかりの茨として。
「こんなはずじゃなかった」
泣き崩れる夜に、
かつて自らが踏みにじった声が
耳元で囁く。
――奪ったものは、いつか必ず
自分をも呪うのだと。