あらすじ
登場人物
•主人公:桐谷雅彦
某テレビ局のベテランプロデューサー。時代劇復活プロジェクトを任されるが、コンプライアンス部との戦いで胃に穴が開きそう。
•脚本家:岸本春男
大御所時代劇脚本家。古典的な武士道精神にこだわるが、ことごとくNGを食らう。ペンを投げてはまた拾う、哀愁あるオヤジ。
•コンプライアンス担当:田代美咲
何でもかんでも「それは差別的表現です」「それは暴力的表現です」と赤ペンで潰す。悪気はなくマニュアルに忠実。むしろ正義感が強すぎる。
・闇の狩人主役 :山田剛
質実剛健、寡黙な男だがテレビシリーズの人気により一躍時の人になった。
・町娘役:山上ローラ
清楚なキャラで売っていたのに実はとんでもない天然キャラで現場のトラブルメーカー
・闇の狩人二人目の主人公:鏑木一誠
元悪代官役だったのに突如人気が出て主役に抜擢されたブレイク俳優
毎週放送される一話完結の物語は、安定した視聴者に支えられ、一定の評価を得ていた。
だが、時代は変わる。
配信や海外ドラマが主流になる中で、スポンサーは離れ、視聴率は下がり、私の現場も縮小を余儀なくされた。
それでも諦めきれずにいたところに、ある日、上層部から言い渡されたのだ。
「次は映画だ。君に任せる」
映画——。
その響きは甘美でありながら、私には重すぎた。
テレビ時代劇と映画時代劇は、似て非なるものだ。
テレビでは役者の芝居や勧善懲悪の筋が分かりやすければ、多少の粗は許される。
だが映画は違う。観客は一本に金を払う。映像美も脚本も、音楽も美術も、全てが格上でなければならない。
「延長線上」では、到底太刀打ちできない。
私はその夜、机に広げた白紙の原稿用紙を前に、頭を抱えた。
映画だからできるもの——。
テレビにはなかった深み、映像の広がり、文化の底力……。
だが、どこから手をつければいいのか、まるで掴めない。