あらすじ
「お前は我が家の恥だ」――。
名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。
絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。
運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。
熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。
そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。
これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。
「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」
知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。
【登場人物紹介】
◆アレン・フォン・アルトス(一条 聡)
本作の主人公。魔力ゼロで生まれたために貴族家から追放された少年。その正体は、事故で命を落とした日本の物理学者の転生者。世界の法則に自らの思考を介入させる【概念置換(コンセプト・シフト)】の能力に目覚め、物理法則を魔法のように操る「物理魔法(フィジカル・アーツ)」の使い手となる。温厚で知的好奇心が旺盛だが、理不尽なことには強い意志で立ち向かう。
◆エリア・クリューガー
アレンの隣家に住む幼馴染の少女。心優しく、治癒術師としての高い才能を持つ。アレンが魔力ゼロと蔑まれる中でも、唯一、彼を対等に見てくれた、心の支えとなる存在。アレンの追放を知り、家を飛び出して彼を追いかける。その深い愛情と献身で、アレンの孤独な心を癒やす。
◆フィオ・マグナス
冒険者の街ギアブルクで「フィオの魔導工房」を営む、若きドワーフの天才技師。伝統的な鍛冶技術と魔導具開発の両方に精通する。アレンの「物理魔法」に強い探求心を刺激され、彼の最高の相棒となることを宣言。アレンの理論を形にするため、数々の専用装備を開発する。快活で好奇心の塊。
◆リリス
先代魔王が亡くなった後、その強大な力を継いだ新魔王の少女。しかし、その心根は優しく、戦いを好まない。強大すぎる力を制御できずに暴走していたところをアレンたちに救われる。アレンの語る科学の世界に純粋な興味を抱き、人間と魔族の共存を心から願っている。
◆カイン・アルフォード
神殿に選ばれし「勇者」。幼い頃に魔物に両親を殺された過去を持ち、魔族に対して狂信的なまでの憎しみを抱いている。神殿の教えを絶対の正義と信じて疑わないが、アレンとの出会いによって、自らの信じる正義に揺らぎが生じていく。