あらすじ

(冒頭) 人は誰しも、矛盾やギャップを抱えて生きている。あるときは優しく、あるときは冷酷に。ある場面では正義を語り、別の場面では悪を選ぶ。そうした揺れ動く人間の姿を、私たちは日常の中で目撃する。すると、人はしばしば「実はあの人は○○なんだ」と言いたくなる。「本当は優しい」「本当は努力家」「本当はいい人」。これらの言葉は、一見すると深い洞察のように響く。しかし、よく考えると、その言葉はしばしば現実を歪める免罪符として機能している。 たとえば、普段は悪いことばかりしている人間がいるとしよう。人を傷つけ、嘘をつき、利己的に振る舞う。しかし、ふとした瞬間に親切をすることがある。すると周囲の人は「あの人、実は優しいんだよ」と口にする。その瞬間、普段の悪事はどこかに追いやられ、たった一度の優しさが、その人の「本質」として持ち上げられてしまう。しかし、冷静に考えれば、これはおかしなことだ。日常的に悪を繰り返すならば、その人は「悪い人」であるはずだ。たとえ一瞬の優しさを示したとしても、それは例外にすぎず、例外をもって本質を塗り替えることはできない。

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カクヨム
カクヨム2025/09/21
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