あらすじ
慶長11年(1606年) 薩摩国。
かつて九州最強と呼ばれた戦国大名である島津義久の娘・亀寿姫は桜舞う春の日に、とある寺を訪れていた。
その寺の名は、永谷山・皇徳寺。
彼女の愛する夫…島津久保の眠る菩提寺だという。
そしてその皇徳寺の参道には、人知れずひっそりと佇む1基の供養塔があった。
その供養塔は、久保に殉死した山本親匡という彼の側近のものだと亀寿姫は言い、それに静かに花を手向ける彼女の口から、懐かしい思い出話としてひとつ、またひとつと静かに彼らの物語が語り始められていく。
時は天正・文禄。
そんな戦国末期の荒波を共に生き、そしてその命と引き換えに島津を戦無き江戸時代へと導いた島津久保と、その正室・亀寿姫の間に固く結ばれた、春に託した愛の約束。
そして山本親匡という一人の久保の側近が命懸けで守った、島津久保と亀寿の終わりのない永遠の愛の物語。
山本親匡の名の元に彼ら夫婦に側近として仕えることになるのは、現代からタイムスリップしてきた一人の若き獣医師の青年。
彼は歴史の闇に葬られた島津久保と、17代目島津当主の謎にただひとり静かに立ち向かっていく。