あらすじ
中村恭一は、ごく普通の平穏な高校生活を望む少年だった。
だが十七歳の誕生日、両親から突如として「お前には妖怪の許嫁がいる」と告げられる。驚きと困惑の中、平穏を望む彼の運命は静かに転がり始める。
許嫁として現れた少女は、妖しくも人間らしい笑みを浮かべる妖怪だった。最初こそ受け入れられない恭一だったが、二人で出かけた初めてのデートで転機が訪れる。
街角で出会ったのは、何かを必死に探している狸の尻尾と耳を生やした妖怪が。
「落とし物を探しているみたいね…行くわよ」
「おい、勝手に決めるなよ」
少女が駆け寄るのを見て、恭一は渋々後を追う。
妖怪が探していたのは、人間の子供と共に作った大切な思い出の品だった。
だが年月は流れ、持ち主も姿を消し、妖怪自身も諦めかけていた。
「妖怪なんか助けないんじゃないの?」とヒロインが問うと、恭一は答える。
「妖怪だろうが人間だろうが、ここまで関わった以上、見過ごすのも目覚めが悪いだろ」
その言葉の裏には、かつて“優しさのせいで痛い目を見た”過去があった。だからこそ彼は、妖怪にに深入りしないよう心掛けてきた。
しかし――彼女の存在が、その頑なな心を少しずつ揺るがしていく。