あらすじ
小学四年生の乾 藤(いぬい ふじ)は、幼馴染の卓人・義和と共に、放課後をいつも通りに過ごしていた。
だがある日、義和に誘われて入った体育館で、藤の人生を揺るがす出会いが訪れる。
少年バレー団のコーチ・月島の前で、初めて触れたはずのボールを、藤はまるで昔から知っていたかのように正確に返してしまう。
胸に広がる懐かしさ。脳裏をよぎる、見知らぬ男の背中。
そしてコーチの口から零れた名は――「藤崎」。
それは藤が決して口にしてはいけないと母から言われ続けてきた、亡き父の名前だった。
失われた記憶、隠された父の過去。
バレーボールを通じて蘇る父との絆に、藤は戸惑いながらも惹かれていく。