あらすじ
七大奇禍やら八大災厄なる〝凶事〟から覿面くらって、来るべき終わりがいよいよ肉薄している六大大陸にて。
とうとい王国の女王には十二人の騎士が存在している。
十二騎士、七宝。片腕欠損したため常に袖をヒラヒラしているおとこは、あるとき、王国きってのバケモノだという異形の青年に出会った。
〝まぜもの〟、辰砂。彼の中に巣食っているのはかつてのバケモノ七大奇禍。歴代の勇者に討伐くらってとっくに絶命したものたち。けれども、〝いる〟。彼の細いからだをうつわにいまなおうごめきつづける。
故に、見た目はどういう巨悪でもないたんなる黒髪の青年は、十二騎士からこぞって疎まれて嫌われるいのちだった。
ところが、エルフはおのれの尖り耳を辰砂へと手ずから食わせた。エルフも、騎士。だが、食わせた。特別製の尖り耳のちからで七匹の怪物を制御するため。為に、まぜものおとこはエルフに執着しながら相棒している。
そうして、七宝。ばったり出会って果たして辰砂へと惹かれたおとこは、辰砂の棲み処の灰牢に出向いてまでわずかな縁を結ぶ。恋をした、気がした――
到来する、激震。何と、エルフがこおりのケモノに捕まって囚われてしまった。エルフなんて縊り殺したいほど大嫌いな七宝だったが、誰かしら頼りたい異形の青年をどうにか一助したくて、みずから出張って彼と共にエルフの救出へとおもむく。
凍てつく、魔境。こおりの山の中を前進しながらふたりは親交していく。あれこれ遣り取りしていくあいだにゆっくり打ち解け、露ほども話したくなかったおのれの身の上を晒し合い、気付くと……仲は、深まった。
かくして、エルフを発見したふたりと魔獣とのバトルがはじまる。つるぎとかたなで連携しながら迎撃の魔獣を猛攻する。
からくも勝利したとはいえ必殺くらってしまった七宝。真っ赤な、海に沈む。
いわゆる、致命傷だ。無理やりでも治癒したくて奇禍の一匹を解放する辰砂。からだとからだを接合するかたちで彼のいのちを繋ぐ。助かった、七宝。ムカつくエルフをそれでも救出して彼と共に帰城した。
いつもの、日々。阻止できない終わりに向かって退廃していく六大大陸。
こおりの魔境でいきおい辰砂に告白した七宝だったが、いっかな返答してもらってないためヤキモキしたまま、それでも、生誕より愛が怖い辰砂への愛をつらぬくおのれを誓う。バケモノながらもかわいい彼をかわいく愛したかった。
それこそいずれはすべてを呑み込む終わりが来るまで。そういう、愛だった。