あらすじ
「かがみ?」
「……うん、わたしの名前、鏡って言うの」
また、珍しいと言われて、それで終わりならいい。でも、またからかわれたりするのかな。
わたしは笑顔のまま、隣の狛出(こまいで)君のことを見ていた。
彼は、先程までコンクリートみたいな硬質で愛想のなかった頬を緩ませる。
「似合ってる。綺麗な名前だ」
わたしの恋は、そこから始まった。
でも、叶う訳もなくて。
狛出くんは、海の外の大学へ行ってしまった。
私は地方の県立大学に合格して、そして、そのまま大学内にある図書館の司書になった。
次の恋を探さなきゃ。
そう思っていたのに。
「かがみ」
彼は、大学の教授として、また、わたしの前に現れた。
左手の薬指に、指輪をして。