あらすじ
クリエイティブディレクターの行雄と、元編集者の妻・奈津子。完璧で穏やかな日常を送る二人の生活は、行雄が一体の古い兎のぬいぐるみを発見したことで、静かに崩れ始める。
妻が大切にするその人形と、一緒に見つかった一枚のメモ。「この兎を君の『器』にしよう。僕たちの戯曲の、永遠のヒロインだ」。
行雄の脳裏に、悍ましい妄想が芽生える。自分と付き合っていた大学時代、妻はサークルの先輩と、人形を媒介にした禁断の心理実験に耽っていたのではないか。そして、その実験は官能的な結実を見たのではないか、と。
これは、妻の秘密を追う夫の嫉妬と愛情が、やがて妄想と現実の境界線を溶かしていく、倒錯的な心理サスペンス。
※この作品には心理描写を重視した官能シーンが含まれます。