あらすじ
竜を愛する竜騎士・リウは、横暴な第二王子を庇い、死んでいく竜の呪いを受けてしまった。
痛みに身を裂かれる日々の中、無慈悲に告げられたリウの余命は僅かなものだった。
竜騎士は竜が選ぶ。
ただの平民に過ぎなかったリウが竜騎士となれたのは、愛竜が見いだしてくれたおかげだ。
だが代わりに竜か竜騎士、そのどちらかが死ねば残された者は二度と空を飛べなくなる。
竜騎士の死は竜の死だ。
まだ若い愛竜が地上に縛り付けられることは、リウには死よりも苦しい。
そんな中、偶然出会った天才魔法使い・ラーゴ。
彼は痛みを魔法で解消してくれた上、王族付魔法使いでさえ匙を投げた呪いの解呪を手伝ってくれるという。
だがその条件は「ラーゴと結婚すること」――。
痛みを減らすためには口づけが有効で、その口づけを定期的に交すには共に暮らす必要がある。
そして賃貸契約上、家族しか同居できないのだと言う。
つまりは本当の婚約ではなく、偽装婚約だ。
胸を撫で下ろすものの意味深なラーゴの態度は、恋愛慣れしていないリウにはどうも落ち着かない。
初対面から好意を抱かれる理由は分からないものの、魔法使い・ラーゴの提案に飛びつき、偽りの婚約者となる。
◆
そうしてラーゴの屋敷へと引っ越しをしたリウだったが、王子を庇って呪いを受けた詫びと計らいで、自宅療養の中竜騎士団の副団長に就任することとなる。
そのため叙勲式と披露パーティーを行うと通達があり、慌ててパーティー用の服を買い出すこととなる。
周囲には偽りの婚約者だとバレないように、恋愛結婚だという形にしようと提案してきたのはラーゴだ。
そのせいかどこにいてもスキンシップが多く、痛みを吸い取るための口づけもどこか優しく、甘い。
ただの偽り、ただの利害関係。
リウは痛みと解呪のため、ラーゴは呪いの研究のため。
ただそれだけだったはずなのに。
ラーゴに信頼を寄せ、気持ちを傾けていく自分にリウはまだ気付かない。
◆
過ごしていく時間が増えるにつれ、リウの気持ちは少しずつ変化していく。
しかし穏やかな日々はそう長くは続かない。
竜の呪いを受けた不名誉な竜騎士・リウ、それは悪名となり、今まで尊敬の目を向けてくれた周囲は一変していた。
庇ったはずの王子にまで、忌々しいと言わんばかりの視線を投げつけられるのだ。
その上、守ってくれるラーゴの不可思議な行動は、信頼しきっていたリウの心に疑惑を生む。
同僚であった男からも、ラーゴに関する信じられない情報を耳にしてしまう。
信じてもいいのか?
信じられないのではないか?
疑惑は困惑を生み、ラーゴと接することが苦しくなるリウ。
呪いを媒介にした、打算しかない関係だったはずなのに――。
謎の多い天才美形魔法使い(23)×呪われた平凡竜騎士(28)
※大賞応募作のため性描写を含む章を一部非公開設定にしています。ご注意ください。