あらすじ
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
【登場人物紹介】
◆藍沢 伊織(あいざわ いおり)
十八歳、Ω(オメガ)。旧家の次男。控えめで心優しい性格だが、芯は強い。家の借金の肩代わりとして、久遠家の当主・征四郎の元へ嫁ぐことになる。美しい容姿を持つが、自己評価は低い。趣味はガーデニング。
◆久遠 征四郎(くおん せいしろう)
三十八歳、α(アルファ)。旧華族の血を引く久遠家の若き当主であり、辣腕の実業家。「氷の帝王」と畏れられるほど冷静沈着で、他人に心を開かない。数年前に愛する番を事故で亡くしており、その悲しみを今も引きずっている。