あらすじ
――上霜覚樹(うえしもサトキ)は、平凡な高校二年生だった。
彼が心を寄せていた神、伊明密多留乃素(イメミタルノス)は、かつて伽僧(サンガ)たちによって命を奪われ、五つに分割されてしまった――その悲惨な過去を知った覚樹は、ただただ「可哀想だ」と思った。
帰宅途中、覚樹の命は奪われ、気が付くとそこは、手に取った一冊の本のページの中の世界だった。
胸に小さな蓮の花が芽生えると、どこからともなく、女性の声が響いた――「生き延びよ」。その声の主は分からない、けれど、覚樹にはそれがイメミタルノスの想いであると直感できた。
白銀の昇る国、月降国(げっこうこく)、月根(つくね)。
かつて住んでいた世界に似ているのに、地名も人々の呼び名も微妙に違う。
さらに、そこには「伍環塔(ごげんとう)」という魔法の力が存在していた。
覚樹を狙う浄瑠璃人形、星月菩提樹の末裔が現れるも、金剛菩提樹の末裔、恒星彗悟(こうせいケイゴ)に救われる。
伍環塔の力を得るには、一度死を体験し、心臓の近くに刻印を押されねばならない。
感情を喰らわねば、芯は止まる――それは真の生命ではなく、偽りの循環。
可哀想なイメミタルノスのために、覚樹は本のページの中で生き延び、学び、そして超天空の座に隠された真実に触れることになる――。