あらすじ
地味で目立たず、どこにでもいる普通の事務員だった私――楠木紗耶。ある日、美人な同僚の“ついで”として異世界に召喚されてしまったけれど、チート能力なんてもちろんなく、「無能」と言われて王城から追放されてしまう。行くあてもなく一人さまよっていた私の前に現れたのは、辺境を治める若き領主アルト様だった。
「君の力は、ここでこそ輝く」
そう言って手を差し伸べてくれた彼は、出会ったその日から驚くほど優しく、時に過保護なくらいに私を大切にしてくれる人で――。
料理をしたり、畑を耕したり、街の人たちとお茶を飲んだり。失ったと思っていた“居場所”が、少しずつ形になっていく。過去の傷が癒えるたび、心は新しい色で満たされていった。
そして気がつけば、ただの「救われた誰か」ではなく、「隣に立ちたい誰か」として、彼と未来を歩きたいと思うようになっていて……。
追放から始まるのは、涙と笑顔に満ちた新しい日常。
――これは、“無能”と呼ばれた私が、辺境でたったひとつの幸せを見つける物語。