あらすじ
公爵家に生まれながら、義母と義兄から虐げられ、オメガであることを隠されて育ったエリオット。ある日、ここが前世で読んだBL小説の世界で、自分がヒロインをいじめる『悪役令息』だと知ってしまう。待ち受けるのは、衆人環視の中での断罪と破滅――。
運命の日、策略に嵌められ全てを失ったエリオットの前に現れたのは、冷酷で知られる敵国の皇太子ゼノンだった。無理やり飲まされていた抑制剤が切れ、甘いオメガの香りを放ってしまったエリオットを、ゼノンは力強く抱きしめる。
「――私の番だ。指一本触れてみろ」
絶望の淵から掬い上げられ、生まれて初めて注がれる無条件の愛。それは、凍てついていたエリオットの心を優しく溶かす、陽だまりのような温かさだった。
しかし、これはただのシンデレラストーリーではない。自らの知識と勇気で運命を切り拓き、愛する人の隣に立つにふさわしい存在へと成長していくエリオットの姿。そして、愛する番を得て、冷たい氷の仮面の下の情熱を解き放つゼノンの豹変ぶり。
二人の愛を阻む王国の陰謀、明かされる出生の秘密、そして国家を揺るがす戦乱――。幾多の困難を乗り越え、二人の絆はより強く、より深く結ばれていく。
これは、どん底から這い上がり、世界で一番の幸せを手に入れる愛の物語。読み終えた時、あなたの心も温かい幸福感で満たされるはずです。
【登場人物紹介】
◆エリオット・アシュベリー
本作の主人公。公爵家の次男。儚げな美しさを持つ銀髪と空色の瞳。Ω(オメガ)であることを隠され、β(ベータ)として育てられた。義母と義兄に虐げられてきたため自己肯定感が低く臆病だが、芯は強く心優しい。転生者であり、前世のハーブに関する知識が彼の運命を大きく変えることになる。
◆ゼノン・ヴァイスハイト
ヴァイスハイト帝国の皇太子。黒髪に冷たい輝きを宿す金色の瞳を持つ、完璧な容姿のα(アルファ)。「氷の皇太子」と呼ばれ、冷酷無慈悲だと恐れられているが、それは孤独と、長年悩まされている不眠症のせいでもある。運命の番であるエリオットと出会い、彼にだけは過保護で甘い独占欲を見せる。
◆アレクシス・アシュベリー
エリオットの義兄。表向きは完璧な貴公子だが、内面は歪んだ嫉妬心と独占欲に満ちているα(アルファ)。エリオットを虐げることで優越感に浸っていたが、彼がゼノンに愛されるようになり、狂気的な執着を見せる。
◆リリアナ
BL小説の原作ヒロイン。平民出身のβ(ベータ)だが、可憐な容姿と聖女のような振る舞いで、アレクシスをはじめとする攻略対象者たちを虜にする。しかしその本性は計算高く自己中心的で、自分の地位のためなら他人を陥れることも厭わない。
◆ルーク
エリオット付きの年配の侍従。エリオットが幼い頃から彼の唯一の味方であり、父親のような存在。常にエリオットの幸せを願っている。
◆カイ
ゼノンに仕える騎士団長。実直で忠誠心に厚いα(アルファ)。最初はエリオットに警戒心を抱くが、彼の優しさや、ゼノンに与える良い影響を目の当たりにし、次第に二人の最も忠実な守護者となる。