あらすじ
「さぁ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい! 御用とお急ぎでない方は見てらっしゃい! この物語は、ふたりのお笑い芸人の笑って泣ける、人生の掛け合いの漫才の話だよー! さぁ、見てらっしゃい!」
「物語は、過去の記憶を振り返る谷からのスタートです! では、どうぞお楽しみください」
サラリーマンとお笑い芸人の二足の草鞋を履くお笑いコンビの一人、ハゼ・ヨウイチは芸人としての自信を無くし掛けていた。相方のエイジとの出会いの記憶は6年前に遡り、ハゼの記憶を紐解くように物語は始まる。
エイジは、前の相方から捨てられるようにコンビを解散された直後、新しいアルバイト先の居酒屋で、ハゼを見つける。ハゼは要約就職先の内定をもらった大学4年生。偶然にもエイジと同い年でもあった。
ハゼはその出会い早々にエイジのペースに巻き込まれ、いいようにからかわれてしまう。
そのことをあとから二歳年上のカノジョの恵美に少しだけユーモアを交えて話すハゼは、恵美の「面白い人」というエイジの印象に少し不満を持ちつつも、恵美に箱根へのドライブ旅行を提案するのだが、恵美と二人だけで箱根へのドライブ旅行に行くはずが、またしてもエイジのペースに巻き込まれてしまい、結果複数人での修学旅行的な一泊二日の団体旅行になってしまう。
行く途中の電車の中で、エイジが自分の財布を無くしてしまうトラブルや、エイジに恵美との二人っきりを邪魔されるハゼだったが、なんとか二人っきりの時間を作り出して旅行を満喫する。
その旅館に着いた晩には、みんなで宴会を楽しんでいた中、またしてもエイジのペースに巻き込まれる。
エイジは突然ハゼとの二人羽織をすると、その場の期待と雰囲気に飲み込まれて、ハゼも仕方無しではあったが、その二人羽織を面白おかしく演じてしまう。
ハゼは、そう思いながらも、みんなの楽しそうな顔や笑い声が溢れていることに、なんともいえない「高揚感」を覚えるのである。
ここで、またしても場の流れで調子に乗ったエイジに対して、「負けてはいられない」と、男としての嫉妬に駆られてしまったハゼは、またしても大きな墓穴を掘ってしまうのである。
旅行から帰ったあと、ほどなくして、ハゼはエイジの「挑発」に乗ってしまい漫才のネタを書くこととなり、古典落語の「明烏」からネタを完成させたハゼは、またも騙されて、ふたりでエイジが所属している事務所主催のお笑いライブのオーディションの舞台に立つこととなり、結果は見事に合格。
そのまま畳みかけられるようにエイジとコンビを組むことになってしまったエイジは、大学卒業までの「期間限定」と割り切り、お笑いライブなどに出まくるのだが、カノジョの恵美の「勿体ない」から、またしても偶然に居合わせたエイジと口論になり、最後のハゼの「引退」を掛けた舞台に立つこととなる。
ハゼの芸人引退する為の大一番の賭けの舞台は、気負うハゼが自ら飲み込まれてしまい上手くは出来なかった。
エイジは「次は頑張んべー」と一言だけ声を掛ける。
その後、芸人としてのスランプに陥るハゼ。
ハゼは大学卒業後に内定していた会社に入社したのだが、どこか「浮いた存在」だった。
そんなとき、同じ会社の女性社員、小松川みどリが社内でハゼに声を掛ける。ハゼは副業が禁止にはなっていない会社で、隠して芸人を続けていたわけだが、そこを小松川に見つかった。しかも小松川は、ハゼがスランプに陥っていることを見破っていた。
その自身のスランプの打開策を知りたいハゼ。
小松川は、それを知りたければ、エイジにも会わせてほしいという。
どうしてもその打開策が知りたいハゼは、小松川をエイジにも会わせる。
しかしながら、実際には小松川は、その具体的な打開策を持っているわけではなかった。
それでも、小松川みどリは、「ソルティドッグ」の結成当初からの大ファンでもあり、「お笑い」をよく知っている頼もしい仲間となった。
ハゼはスランプから立ち直れてはいなかったが復調の兆しもあった。
居酒屋でのハゼ、エイジ、恵美、みどリ、と加えて先輩芸人1人の5人での反省会のときに、みどりから爆弾発言が飛び出す。
みどりは、いまの会社を退職して、「ソルティドッグ」が所属している事務所でタレントマネージャーとして転職が決まったというのだ。このことを知っているのは、エイジただ一人だった。
みどりのハゼと同じ会社での退職の挨拶が大きな誤解を生むことになる。
恵美にそのことを相談するが、お互いの認識が違っていたことで、ふたりの心はすれ違ってしまう。
その後、ハゼは芸人をしているのを隠していたことが社内のみんなにバレてしまい、会社内での自分の周囲が騒がしくなりすぎている現状に、「会社員としての責任」と「芸人としての責任」に思い悩む。
そのことをエイジに相談すると、エイジからは、思ってもいなかった、真面目な答えが返ってきた。
そのエイジの言葉で、気持ちよく酔っぱらって帰る途中に、偶然恵美が他の男と肩を組んでホテルから出てくるところに出くわしてしまう。
恵美は、ハゼに言っていなかった本心を話すと、ハゼは心の整理がつかなくなり、その場で泣き崩れる。