あらすじ
世界が終わる日、おれは目を覚ました。
終末時計の針はとうに引きちぎられたというのに、部屋の目覚まし時計の針は今日も律儀に規則正しく時を刻んでいる。ただ、いつもより早く目が覚めてしまった。どうやら興奮しているらしい。まるで遠足の朝の子供のように。
『おはようございます。いい朝ですね』
「……素晴らしい皮肉だ。さすがエステマ社だな」
ベッドを出て、リビングに足を運ぶと、マニカがいつものように出迎えた。
マニカ――アンドロイド業界で圧倒的シェアを誇るエステマ社が開発した家庭用アンドロイド。磨き抜かれた白磁のような体、わずかに温度を宿す指先。高性能AIを搭載し、掃除、洗濯、日常生活のあらゆるサポートをこなす存在だ。彼女は変わらない。たとえ世界が崩壊に瀕していようとも……。