あらすじ
東方の大国・華陽(かよう)帝国。
その中心には、赤と金の装飾が眩しい鳳凰宮がそびえ、皇帝の寵愛を巡る女たちの謀略や陰謀が日夜交錯していた。
花街で薬師としてひっそりと暮らしていた**鈴蘭(すずらん)**は、ある夜、闇に紛れた人攫いたちにさらわれ、鳳凰宮の下女として売り飛ばされてしまう。
“目立たず、年季が明けるまで何事も起こさず耐え抜く”――それが彼女の唯一の望みだった。
だが、宮中では幼い皇子たちが次々と短命に終わるという“呪い”の噂が囁かれ、宮廷の人々は恐怖と猜疑心を抱えていた。
薬理と毒学に知識を持ち、常軌を逸したほどに“毒”に関心を抱く鈴蘭は、やがてその“呪い”の背後に隠された異常な仕掛けと真実を見出してしまう。
その活躍が謎の宦官・月影(つきかげ)の目に留まり、彼の取り計らいにより、鈴蘭は皇帝の寵妃・翠蓮妃(すいれんひ)の毒見役兼侍女に抜擢される。
普段は人付き合いを避ける鈴蘭だが、次々と宮中で起こる怪事件・毒薬をめぐる謎に、彼女は薬学と推理力を以て挑む。
やがて鈴蘭は、月影が抱える秘められた過去、さらには華陽帝国の深奥を揺るがす巨大な陰謀へと巻き込まれていく――。
豪華絢爛な宮廷の裏に潜む毒と花の闇、その中心で“薬師”としての才覚を発揮する少女の物語。