あらすじ
『文字化け病』は数年前に突如として現れ、世界中に急拡大した疾病だ。
病といっても体調に影響はなく、症状はいたってシンプルで『書いた文字がすべて化けてしまう』のだ。
書いた文字、というのはスマホなどの電子機器での入力も同様で、メールや検索機能もろくに使えなくなる。
専門家によると言語認識と出力に齟齬が発生してうんぬんかんぬんとのことだが、つまり確たる原因はよくわかっていないようだった。
それだけでなく発生源、感染経路、発症期間なども判明しておらず、ある日突然発症してはある日突然治るらしい。
文字化け病はいろいろ不明すぎる病気で治療法もないが、症状自体ははっきりしていたため対策はすぐに整えられた。
そのひとつが『代筆係』だ。
代筆係は授業のノートが取れなくなった発症者の隣席の生徒が行うと決まっていて、毎日放課後に自分のノートのコピーを印刷して渡すのが仕事だった。
だから僕は今日も成瀬と並んで教室へ戻る。
彼女と二人きりになる機会はそうないので、これはこれで悪くない。
表紙・作中に登場する文字化けは『文字化けテスター』で作成しています。