あらすじ
かつてこの大地は、一人の男によって滅びかけた。
そして残されたのは、“災厄のドラゴン”。
五メートルを超える巨体。
山を割る咆哮。
世界の半分を焼き尽くす炎。
人の手には余るその竜は、深い谷底へ封じられた。
そして、四百年が過ぎた。
長雨、洪水。
疫病、飢え。
続く苦しみに、大地は悲鳴をあげた。
「呪いだ」と誰もが囁く。
そんな折、人々の記憶に甦ったのは、谷底に眠る災厄の竜。
あの竜が怒り、涙を流しているのではないか、と。
恐怖はついに宰相を動かした。
決断は一つ──
「竜に花嫁を捧げよ。」
それは祈りの形を借りた犠牲でしかない。
けれども人々は信じた。
竜の涙を鎮められるのは、花嫁だけだと。
こうして、“泣き虫ドラゴン”と“囚われの花嫁”の物語は幕を開ける。