あらすじ
海で交わした約束は、十年の歳月を越えて凍りついた。
刑事と管理官、そして罪に生きる女。
再会は偶然ではなく、運命の罰だった。
愛と憎しみ、信念と赦しが交錯する氷の物語。
凍てつく流氷の果て、
それでも彼は――君を想い続ける。
登場人物
蒼衣 洋(あおい・うみ)
――北海道の漁師の家に生まれた青年。
名の「洋(うみ)」には、「太平洋のように広い心を持て」という父の願いが込められている。幼くして母に捨てられ、父も海の事故で失い、施設で育つ。
明るくお調子者で、人を笑わせるのが得意だが、その笑顔の裏には“誰かに愛されたい”という渇きがある。
母に「産まなきゃよかった」と言われた幼少期の記憶が、彼の優しさと強さの根に静かに残っている。
青井 雅(あおい・みやび)
――警察官僚の家系に生まれたエリート。幼い頃から将来を約束された優等生で、冷静沈着な完璧主義者。
感情を抑え、常に理性で生きてきたが、明るく奔放な蒼衣 洋と出会い、その心に初めて温もりが灯る。
友情とも愛情ともつかない想いを胸に秘め、彼の“影”として静かに寄り添い続ける男。
向葵 雫(あおい・しずく)
――母子家庭で育ち、再婚で得た穏やかな日々を大切にしていた少女。
しかし、義父が闇組織と関わっていることを知り、彼を救おうと幹部・李 宇轩に近づいたことで運命が狂い始める。
義父の死を境に、雫は闇の世界へと引き寄せられていった。
純粋な笑顔の奥に、深い孤独を抱く女性。