あらすじ
ミタマリヴァイヴ計画──すなわち「御霊の蘇生」を目的とした企業の極秘実験。
その被験体に選ばれたのは、幕末の剣鬼と呼ばれた侍、夜島時継(やじま・ときつぐ)。
生前に自ら施した御霊封じの儀式と、現代科学が生み出した御霊転写技術によって、彼は時を超え、二〇〇年後の世に蘇った。
かつての肉体──鬼妖怪としての肉体を取り戻した彼は、再びこの世の風を吸い込む。
だが目を覚ました現代は、かつて己が身を投じた戦によって得られた平和とは言い難い、いつわりで塗り固められた歪な世。
しかし侍の系譜はなお続いていた。武将に武士に士族、それらは現代社会に組み込まれ、機能し、帯刀令という法まで施行されていた。
人と妖が共に暮らす世界で、時継は変わらぬ侍の誇りに安堵するが──その侍という立場さえも、金子で取引される形骸化したものに成り下がりつつあった。
一方でミタマリヴァイヴ計画は既に破棄され、存在自体が生命倫理に反するとして抹消されていた。
この世に蘇った時継は、今や「在ってはならぬ亡霊」──。
彼を救ったのは、計画主任にして彼の八代目の子孫、──遠い遠い娘である詠理(えいり)。
詠理は裏社会から偽造戸籍を手に入れ、夜島時継の「正式な死」を装うことで、彼を現世の闇に溶け込ませた。
かくして、
かつての侍は今、現代に生きる浪人──、
宵村剋舟(よいむら・こくしゅう)として再誕を果たす。
※完全人力創作