あらすじ
私がこの世界に「聖女」として召喚された時、世界は死にかけていた。
大地は“蝕み”と呼ばれる呪いに穢れ、作物は枯れ、人々は絶望の淵にいた。
私に与えられたスキル【聖域化(サンクチュアリ)】は、そんな穢れを浄化し、大地を再生させる唯一無二の奇跡。
私は喜んだ。この力で、苦しむ人々を救えるのだと。
砂漠を森へ、毒の沼を清らかな湖へ。私は何年もかけて、大陸の半分を緑豊かな大地へと蘇らせた。
人々は私を崇め、感謝の祈りを捧げた。これで、誰もが笑って暮らせる世界になる。そう、信じていたのに。
―――私が再生させた土地を巡り、国々は戦争を始めた。
豊かになった土地の所有権を主張し、私の奇跡を独占しようと争い始めたのだ。
昨日まで私を「聖女」と呼んだ人々は、手のひらを返し、私を「争いの火種を撒いた災厄の魔女」と罵った。
そして、私が最も信頼していた王国の裏切りによって、私は全てを奪われ、大陸で唯一残された穢れた土地――“見捨てられた地”へと追放された。
これは、理想に燃えた聖女が、救ったはずの人間の醜い欲望によって絶望し、心を閉ざすまでの記録。
そして、二度と誰も救わないと誓った彼女の元に、また“救いを求める者”が現れた時、物語は再び動き出す。