あらすじ
路地裏にひっそりと佇む、BAR【second】
ここのマスター、カイは「元・最強」の肩書きを持つが、今の口癖は「面倒くさい」。
オーナーを名乗る銀髪の美少女リンドは、その正体を「古龍」と吹聴するが、実態はカウンターの酒を狙うただの食いしん坊。
そんなやる気も威厳もゼロの二人が営むバーは、なぜか今夜も大繁盛。
――ただし、お客様はちょっとだけ『ワケあり』だ。
「聞いてくれよカイ君、最近の魔物はなってない!」
「魔王様、お野菜ご持参での愚痴はご遠慮願います」
「癒やしのポーションより効くカクテルを頼む……」
「勇者様、鎧をカウンターに置くと傷がつくのでやめてください」
扉が繋がるのは、ダンジョンの最深部か、はたまた魔王城の裏口か。
ゴブリンは道に迷って泣きつき、喋る宝石は自慢話が止まらない。
カイが面倒くさそうにシェイカーを振れば、リンドが上から目線で茶々を入れる。
世界を救う? そんな大仕事はもうおしまい。
これは、最強の看板を下ろした元・英雄と、最強の胃袋を持つ元・天災が、お疲れ様な常連さんたちに極上の一杯を振る舞う、どこか騒がしくて温かい夜の物語。
「いらっしゃいませ。ご注文は?」