あらすじ
王立学園の卒業パーティーで、王太子から婚約破棄と追放を告げられた公爵令嬢イザベラ。
身に覚えのない罪を着せられ、送られた先は「枯れ谷」と呼ばれる痩せ果てた辺境の地だった。
絶望の淵で彼女が思い出したのは、「園芸」を愛した前世の記憶。
その瞬間、あらゆる植物を意のままに操る【植物魔法】が覚醒する。
前世の知識と魔法の融合。
それは、不毛の大地を緑豊かな楽園へと変える奇跡の始まりだった。
堆肥作りから始まり、水脈を発見し、見たこともない作物を育てる。
彼女の起こす奇跡は、生きる希望を失っていた領民たちの心に光を灯し、やがて「枯れ谷の聖女」という噂が国中に広まっていく。
一方、イザベラを追放した王国は、天候不順、食糧難、そして謎の疫病に蝕まれ、崩壊の一途を辿っていた。
偽りの聖女は何の力も発揮せず、無能な王太子はただ狼狽えるばかり。
そんな彼らが最後に希望を託したのは、かつて自分たちが罪を着せて追放した、一人の「悪役令嬢」だった――。
これは、絶望から這い上がり、大切な場所と人々を見つけ、幸せを掴み取る少女の、痛快な逆転譚。
【登場人物紹介】
◆イザベラ・フォン・クローヴィス
公爵令嬢。王太子アルフォンスの元婚約者。リリアの策略により「悪役令嬢」の濡れ衣を着せられ、辺境の地「枯れ谷」へ追放される。そこで園芸を愛した前世の記憶と、植物を操る「植物魔法」に目覚める。芯が強く、一度決めたことは最後までやり遂げる意志の強さを持つ。
◆アンナ
イザベラの幼い頃からの専属メイド。イザベラが追放される際、ただ一人付き従った忠義の篤い少女。心優しく、イザベラの起こす奇跡を側で支え、共に喜ぶ。
◆アルフォンス・ハイネマン
王国の王太子。イザベラの元婚約者。男爵令嬢リリアに心酔し、イザベラを断罪して追放する。視野が狭く、王族としての責任感に欠ける。
◆リリア・ベルンシュタイン
男爵令嬢。可憐な容姿と巧みな演技で王太子や周囲を誑かす。自らを「聖女」と称するが、その力は偽り。嫉妬深く、自分の地位のためなら他人を陥れることも厭わない。
◆隣国の王子
物語の終盤で登場する、誠実で聡明な人物。「枯れ谷の聖女」の噂を聞き、友好の使者としてイザベラのもとを訪れる。