あらすじ
「東京の雨を見ていると涙が出てくるのはなぜだろう」
と、ビルが雨に濡れ姿はなんだか悲しい思い、優作はつぶやいた。
横で雨子さんが、優作の隣に立ち言う。
「それはツグミを狩って食べたからだと私は思うの…。それゆえに親鳥の帰りが来なくて、飢えて死んだ雛達の涙が雨に変わったんだと思うの」
と、雨子さんは言う。
俺はよこで雨子さんの言葉を聞き、優作は新宿のカフェでコーヒーを飲みながら、ひたすら雨を眺めた。
雨子さんは蓮花茶を飲んでいる。
雨子さんは俺にしか見えない、空想のお友達。それは決まって、雨が降る日にしか現れず、突然優作の目の前に現れるのだ。
「ねぇ、貴方は雨が嫌いなのかしら?」
と雨子さんは蓮花茶を飲みながら言う。
「いや、むしろ好きだよ、ただ雨にぬれるビルを眺めていると、自然に涙が自然と流れのさ」
と、優作はコーヒーを啜りながら言う。
雨子さんは、
「そうなのね」
と、だけ言い、微笑みながら蓮花茶を飲んでいるのだった。
そうだ、雨は好きだ。雨に濡れると心の汚れも落としてくれるし、涙を流していても涙と一緒に水滴も流してくれるから雨は大好きだと、優作は思うのだ。
優作は最近長年付き合っていた恋人と別れた。それは突然のことだった。
いい年した大人が、街中で雨になる濡れながら号泣するのはみっともないと、自分でも思った。
けど、雨子さんだけは違う。
「優作くん、濡れとか風邪ひいちゃうわ」
と、白いワンピースに白いサンダル姿だけの格好で、ビニール傘を差し出し、僕に手を差し伸べてくれた。
それ以来雨子さんは、雨が降る日には必ず僕の目の前に現れては、励ましてくれる、お姉さんのような存在なのだ。