あらすじ
ユイが死んだ。
推しの地方ライブへの遠征中、高速バスが事故に遭い、親友は帰らぬ人となった。
推し活の全てを共有していた私たちは、いつも二人で推しを応援していた。
でも、ユイがいなくなった瞬間、推し活は色を失った。
私は推しのグッズを段ボールに詰め、SNSを閉じ、推しの名前を検索することをやめた。
ユイがいないなら、推す意味がない――。
それから三週間後。
深夜、私のスマホに見覚えのないアプリ【推しログ】が出現した。
通知が届く。
「ユイさんがあなたをフォローしました」
死んだはずの親友から、メッセージが届いた。
『マナちゃん、久しぶり。私の分まで、推してくれる?』
最初は嬉しかった。ユイが戻ってきた。また一緒に推せる。
私は二人分の推し活を始めた。
でも、ユイの"お願い"は、少しずつエスカレートしていく。
「私の服を着て、推しに会って」
「私の名前で、推しに話しかけて」
「私の髪型にして。私のSNSで投稿して」
「お墓の前で、推しの配信を見て」
気づけば、私は私ではなくなっていた。
鏡に映るのは、ユイの顔。SNSで呼ばれるのも、ユイの名前。
私は、誰?
推しの事務所に呼び出され、全てが崩壊する。
そして、ユイが最後に明かした"本当の供養"の意味――。
「私ね、マナちゃんを推してたの」
これは、推し活ホラー。
これは、友情と依存の物語。
これは、生者が死者を供養するふりをして、死者から供養されていた話。
あなたは、誰かの推しですか?
あなたは、自分自身を推せていますか?
――死んだ推し友が、今日も私に通知を送ってくる。