あらすじ
名古屋市中村区の古びたアパートに暮らす49歳の男・加瀬直人。
生まれてすぐに「赤ちゃんポスト」に預けられ、両親の顔を知らぬまま養護施設で育った。
学歴は中卒、発達障害と統合失調症を抱え、仕事も長く続かない。
今は生活保護費だけで、社会の片隅でひっそりと生きている。
孤独と絶望の繰り返しの中、直人の人生はある日、小さなきっかけで動き出す。
就労支援を掲げるNPO団体「希望の灯」との出会いだった。
そこには、社会復帰を支援すると言いながら、どこか不穏な影を漂わせる代表・桐島玲子の存在があった。
彼女の導きで、直人は“社会に必要とされる感覚”を初めて味わう。
しかしその裏で、支援活動とは名ばかりの金銭取引と不正の構造が少しずつ姿を現していく。
やがて直人は、自分が知らぬ間に「何か大きなもの」に巻き込まれていることに気づく。
過去を背負い、社会に見捨てられた男が、
生まれて初めて「生きる意味」を掴もうとする――。
それは、悲しみと怒り、そして静かな希望の物語。
彼の選択が、誰も予想しなかった「逆転」への道を切り拓いていく。